「春と修羅」を終えて

2月28日~3月4日まで、宮澤賢治の世界を女の人7人の声と身体で描くといった劇団「錬肉工房」の舞台に出演しました。

錬肉工房を主宰している岡本章氏は40年以上にわたって「能」が本来持っている本質的な面を深く掘り下げて一つの舞台を創りあげるという方向性を追求して、現代演劇と能との外面的な様式性や構成のありようなどではない接点を求めてきた人です。なので過去にも何人かの能楽師も関わったことがあります。現代演劇の俳優だけで演じた舞台も含め、「現代能楽集シリーズ」として続けてこられました。

岡本メソッドとも言われている身体と声の技法は、基本として能のものと近接していることもあり、私にとっては長く続いた稽古も、この上演に関しても、ほとんど能を演っている身体と声でした。

前回の「春と修羅」も「オイディプス」の時もそうでした。ですから私にとっては全く無駄とは思っていません。しかし、能と違う芝居の世界のありようというものはなかなか大変な部分もあります。

まず、本番が5回も!あるということです。

御存知の通り、能は一期一会の一回限りです。何ヶ月も稽古して当日にかけるわけです。本番が続くということは、気が抜けないということ、これがわかってはいても、かなりしんどいものでした。又、能の稽古は自分一人で何回も稽古して皆がそろって稽古するのは多くて二回、少なければ一回です。ところが全員集まって稽古を数ヶ月にもわたってすること、これも私にとってはしんどいものです。当然そうしなければならないことはよくわかります。それでこそ良い舞台となるのですから。

まあ、お陰様で全体の評価はとても良かったと伺っています。それならば私もやったかいがありました。

今、本格的な能「高砂」(国立能楽堂主宰公演)を稽古しています。もうすぐ本番です。

チケットはすでに完売してしまったとのことでした。

あらためまして御礼申し上げます。

 

 

 

 

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