銕仙会定期公演(五月)「胡蝶」のご案内

先月二十三日の第二十五回鵜澤久の会は、当日の私の突然の体調不良により、番組順を替えさせて頂くことになり、皆様にご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした。

お陰様で、現在に至るまで何事もなく過ごしております。

 

さてもう目の前の御案内となってしまいましたが、来る五月九日(金)の銕仙会定期公演にて、「胡蝶」を"物着"の小書(特殊演出)にていたします。

これは中入りせず、後見座で後シテの装束になります。「胡蝶」は以前にも演じていますが、小品ながら本当にいい能だと思います。今回は昭和四十四年に、観世寿夫先生がなさった時のありようでやらせて頂きます。特別に曲が変わるわけでは全くありません。

只、蝶々の命のはかなかさが華やかな中にも、より一層感じられるように見て頂けたら有難いと思い稽古しております。人心の落ち着かない戦国の世にあって、人々が見るだけで面白いと思われる紅葉狩や船弁慶といった曲を作らざるを得なかったと言われる戦国時代の能役者、観世小次郎信光作の曲です。

ところが彼はこの「胡蝶」や「遊行柳」といった深く人の感性に訴えるような曲も一方で作っているのです。彼が求めていたかもしれない平安の趣き、そのような雰囲気を感じさせる能だと思います。ぜひ見て頂きたく存じます。

日があまりありませんので、早めにお申し込みいただければ幸いでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。

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