第19回鵜沢の会公演「松浦佐用姫」を終えて①  ~佐用姫への思い 

今回の「松浦佐用姫」は、私にとって、又、一部の出演者の方達にとっても初めて出会う曲でした。

ご挨拶文にも書きましたが、今春より何回かの検討会をしつつ、どのような曲なのかを平面で勉強し、話し合って、少しずつ固まって行きました。

二月末には、自分も唐津まで行き、折りもよく、市民会館ホールで催された九州の能楽師、多久島さんの舞台を拝見する機会にも恵まれました。

また、松浦のなんとも豊かでのどかな、それこそ、鏡の面のように静かな海を眺めながら松浦山(ひれふりやま)にも登り(とは言っても途中までは車で)その頂上からの(展望台がちゃんとありました)遙かなる景色の中に、あの海の先に、朝鮮半島が、唐の国が、臨まれるよう壮大なロマンを感じながら、佐用姫が去りゆく船に必死になって振ったひれが風になびく、そのときの情景が目に浮かぶような、それはそれは美しい海岸線とともに、忘れられぬ景色でした。

今回、その時に見た、その景色を表現できたら、と、思っていました。嬉しいことに、ご覧になった方から、舞台と客席全体があたかも松浦潟を思わせるような、とても不思議な体験をしたという言葉をもらいました。

能はやはり、観客の方々の想像力と感性にゆだねる所が面白くもあり、また、それを充分働かせてもらえるように、演者側も稽古を積んで努力しなければならないと思います。

 

 

 

 

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