「織姫能」を終えて

7月2日(日)に豊田市能楽堂の主催公演としては初めて女性の能楽師のシテとツレ、地謡も女性能楽師だけという催しがありました。

曲は「蝉丸」で両ジテ扱いとして替の型の形をとったので、逆髪が喜多流の大島衣恵さん、蝉丸が光でした。

喜多流と観世流がともに舞台に立つ異流共演でした。

地謡は私(久)が地頭で、観世流の女性能楽師だけで謡いました。これは五年前に梅若の山村庸子氏が主宰する、こころみの会でご依頼頂き、やったものの再演でした。地謡のメンバーはその時とは多少異なりましたが、ほぼ同様でした。

前回もそうでしたが、逆髪が喜多流であるということは、地謡を謡うにあたって、私にとってはさほど違和感は感じません。

観世流の逆髪の、割にハイテンションな狂女的な変化の起伏のある謡ではないけれど、その落ち着きも素敵だと思うし、こちらが様々に対応して行かなければいけないのだと思っていました。

(やはりクセの後のもって行き方がかなり大変でした。)

蝉丸のテーマはかなり重いものですが、現在能として、それぞれの場面鮮やかに描かれることによって、演劇としての面白さが浮き上がってくるのですから、そのあたりが難しい所だと思います。

しかし、能というものは舞台芸能としての完成度が本当に高いものであると、つくづく思うと同時に、それだけで人が見られる形にはなってしまうところが、危険な事だというようなことを、寿夫先生がおっしゃっておられたことを思い出します。

 

 

 

 

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